2025年4月25日、デンマークの国王であるフレデリック10世が、おりづるタワーに来訪されました!王族がご訪問される機会など滅多にあることではありません。今回は一体どういった経緯で来訪につながったのか、来館時の様子と合わせてレポートしていきます。
なぜ、国王がおりづるタワーへ?
デンマークのフレデリック国王が「おりづるタワー」を訪問されたきっかけは、建築家・三分一博志さんが同施設の建築を構想する中、デンマーク・コペンハーゲンにある「ラウンドタワー」からインスピレーションを受けたことにあります。三分一さんは広島を拠点に活動する建築家でありながら、デンマークでも個展を開催するなど国際的に活躍されており、2011年から非常勤でデンマーク王立芸術アカデミーの教授も務めらるほど、デンマークとのつながりが深い方です。今回、フレデリック10世は大阪・関西万博に合わせて日本を訪問する予定があり、三分一さんを通じておりづるタワーに足を運ばれることとなりました。

広島を拠点に活動する建築家 三分一博志さん
ラウンドタワーとおりづるタワーの関係
デンマーク・コペンハーゲンにある「ラウンドタワー」は、17世紀に国王クリスチャン4世によって建てられた天文観測タワーです。この塔の特徴は、馬車に乗ったままでも展望台まで登れるよう、階段ではなく緩やかなスロープが設けられている点にあります。今では、デンマークを代表する観光名所の一つです。

デンマークの首都コペンハーゲンにあるラウンドタワー外観
このラウンドタワーからインスピレーションを受けて設計されたのが、「おりづるタワー」です。おりづるタワーでは、特に「広島の地形が生み出す川と風の流れ」を体感できる空間づくりが重視されました。高さ約50メートルの既存ビルを「都市の小さな地形」と見立て、その中に自然の力を最大限に活かすスロープを設置。来訪者はそのスロープを歩きながらゆるやかに上昇し、広島の川の流れや平和の大切さを感じられる“丘”にたどり着くような構成になっています。
都市と自然、人と建築がゆるやかにつながる、そんな空間として設計されたおりづるタワー。ラウンドタワーとの思想的なつながりが、今回の国王訪問の背景にもなっています。
ラウンドタワーの内部の様子はこちら
おりづるタワーご来訪の様子
当日はおりづるタワー周辺に、国王を一目見ようと偶然日本に観光で訪れていたデンマークからの観光客の方が集まっていました。というのも、国王ご自身が公式Instagramで広島訪問を事前に公開されていたためです。
また、今回のおりづるタワー訪問は特別な貸し切りではなく、一般のお客様がいる中でのご見学だったため、現地にいた多くの方々にとって、まさに思いがけない歴史的瞬間となったのではないでしょうか。

▷建築家・三分一博志さんとともに見学
国王は三分一博志さんのエスコートでおりづるタワーを巡られました。特徴的なスロープを歩きながら屋上展望台へと向かう道中では、集まった報道陣のカメラが並ぶ中でも、三分一さんとリラックスした雰囲気で言葉を交わされているご様子が印象的でした。



▷小学生と折り鶴体験も
展望台から眺める広島の景色を楽しまれた後、12階おりづる広場では袋町小学校の児童たちがお出迎え。国王は児童たちとともに「おりづるの壁」から折り鶴を投函する体験をされました。
さらに、折り鶴の折り方を児童たちから教わりながら、実際に一緒に折る場面もあり、笑顔溢れる交流のひとときが生まれました。


おりづるタワー荒木さんが語る、国王来訪の舞台裏
受け入れ側としてフレデリック国王の来訪を担当した荒木さんに、当日の様子を振り返ってもらいました。
「フレデリック国王はとても気さくな方でした。ご見学の最後には、一般のお客様が滑り台で楽しんでいる様子をご覧になって、自らも興味を持たれたようで、実際に滑り台を体験されていたのが印象的でした。お帰りの際も、袋町小学校の子どもたちと一緒に折った鶴を大切に手に持ちながら、笑顔で車に乗り込まれていました。」
また、荒木さんはこうも語ってくれました。
「実は3月にはイタリアの大統領もお越しになったばかりなんです。立て続けにこんなに偉い方々がいらっしゃるなんて、正直驚いています。こんな機会、普通に働いていたらなかなか経験出来ることではありません。本当に貴重でありがたい体験をさせてもらったと思います。このような機会が増えることで、世界中の方におりづるタワーを知ってもらうきっかけになればより嬉しく思います。」

おりづるタワーへの国王来訪という貴重な出来事は、私たちのグループが手がけている場や活動が、国際的にも注目を集めていることを改めて感じさせてくれる出来事でした。
今後も「広島から世界へ」の視点を持ちながら、一つひとつの仕事に誇りを持って取り組んでいきたいですね。